アメリカのクラウドファンディングサイト「kickstarter」で2020年11月3日からプロジェクトを開始した3Dプリンター「Selpic Star A」が先日ストレッチゴールを達成しました。
11月10日には、なんと当初予定の500%以上の目標を達成し、早ければ12月にも出荷される見込みとなりました。
Selpic Star Aの最大の特徴は、約10,000円で買える価格面。そして追加出資でレーザー刻印ができるといったモジュールの拡張性がポイントとなっております。
Selpic Star Aに関しては、これまでこのブログで紹介しておりますので下記のリンクをご覧ください。
今回、メーカーのSelpic様より「Star A試しに使ってみない?」とお声がけをいただきましたので紹介していきます。
スペック
Selpic Star Aは12㎝×12㎝×高さ12㎝のモデルを3Dプリントすることができます。
積層幅は0.1~0.2㎜に対応。
騒音地は60dBと超静か。
という方に最適な1台です。
3Dプリンターに挑戦する理由は人様々ですが約10,000円で買うことができるので入門用として最適ですね。
開封と付属品の確認
これまでKickstarterを何度か利用したことがあるのですが、出資されても一向に商品が手元に届かないといった詐欺に何度もあってきました。
しかし、下の写真のようにStar Aはちゃんと届きますので、ぜひ安心してポチって下さい。
こちらが付属品一式です。
お試しに10mのPLAフィラメントのほか、組み立てに使うドライバーやmicro-SDカードが同梱。
こちらは追加でお金を払うとついてくるレーザー刻印ユニット。
ここからレーザーが射出され、革、木などにレーザー刻印ができるようです。某映画に出てくるデススターみたいですね。
今回、レーザー刻印ユニットまでつけていただきました。
このレーザー刻印ユニットは追加で39ドル支払うと買うことができます。
この他にも
- 100度まで対応の温床
- 2.4インチフルカラータッチスクリーンのコントローラー
を追加することができます。
Selpic Star Aを組立ててみた
情報によると3ステップで組立ができるとのことでした。
メーカーから日本語の取説を送ってもらいましたが必要最低限のことしか書かれておらず理解するのに苦労しました。
まずは、XとZ軸のアームコードを下に通します。
続いてXZ軸アームを本体に取り付けます。
アームの根元に2本のボルトを通してビスで固定。
本体を裏返して裏面のハーネスを接続。
フィラメントホルダーを組み立てたら。
本体に取り付け。
3ステップとは言えませんが20分もあれば容易に組み立てられると思います。
組み立て後のセッティングに関してはSelpic公式のYoutube動画を確認すると、より理解しやすいと思います。
Ultimaler Curaのインストールと設定方法
付属のMicroUSBにスライサーソフトの「Ultimaker Cure」が入っているのでインストール。
ついでにPCにSelpic Star Aのドライバーをインストールしておきましょう。
ここで問題が発生。
Ultimaker CureをPCにインストールしましたが、プリンター選択画面にSelpic Star Aが表示されません。
そのため、スライサーソフトに自分で3Dプリンターの設定を入力していく必要があります。
まずは「Add non-netwarked printer」という項目をクリックし「Custom FFF printer」を選択。
そしてプリンターネームのところを、とりあえず「Star A」にしておきましょう。
次にマシンセッティングを行います。
マシンスペックを参考に、
- X軸(縦)120mm
- Y軸(横)120mm
- Z軸(高さ)120mm
で設定。
「G-code flavor」の項目をRepRapに変更。
Nexのボタンを押すと下記の画面になります。
なんだか3Dプリンターの開発者が使ってそうな画面ですね。(当たり前です)
Manage Printer(プリンター管理)を選択したあと、赤い矢印で囲った部分のMachine Settings(プリンターの設定)をクリック。
右側のExtruder1のタブをクリックしたら赤字の数値に変更します。
最後にスライサーソフトの言語を日本語に変えたら一通り完成です。
3Dモデルのサイズ変更のやり方
印刷したい3Dモデルデータが大きすぎて印刷できない場合は、縮小をして印刷することができます。
まずはサイズを50%に設定して、「Uniform Scalimg」を選択してください。プロジェクト全体が50%に減少します。
スライスする前に印刷設定をしてみましょう。 「カスタム」に移動すると、好きなようにカスタマイズできます。
3Dプリントしたいデータの準備が整ったらgcode形式でmicro-SDカードに書き出します。
その前にプリンターの動作に関する設定を行います。
オススメの印刷設定はコチラです。
- Layer Height(レイヤー高さ): 0.1mm
- Wall Thickness(壁の厚さ): 0.8mm
- Print temperature(印刷温度): 200℃
- Print speed(スピード): 30
- Generate support(サポート): √
- Support Placement(サポート範囲): Everywhere(全対象)
- Layer Height(レイヤー高さ): 0.1mm
- Wall Thickness(壁の厚さ): 0.8mm
- Print temperature(印刷温度): 200℃
- Print speed(スピード): 30
- Generate support(サポート): √
- Support Placement(サポート範囲): Everywhere(全対象)
すべての作業が完了したら、スライスを開始できます。
使うフィラメントの量や完成までの時間が分かるようになります。
こんな感じでセッティングについていろいろまとめてみましたが、3Dプリントに詳しい方はぜひおすすめのセッティングを教えてください。
私は初心者なのでまずは、付属のmicro-SDカードに収録されていたデモ用のgcodeデータを3Dプリントすることにします。
レベリング調整
電源をいれる前にノズルとステージとのあいだのクリアランス調整(レベリング)を行います。
この調整、実は初心者には難しいと言われており、ノズルと台との距離を0.1ミリにしないといけません。
そんなのできないよと思うかもしれませんがやり方があるんです。
A4用紙をノズルと台のあいだに挟み、紙をずらしたときにノズルが紙を引っかかない程度に調整するのです。
ここが1番面倒で大変な工程でしたが無事調整が終わりいよいよフィラメントの投入です。
フィラメント投入
Selpic Star Aで推奨しているフィラメントは「PLAフィラメント」つまり普通のプラスチック素材です。
その他、ABS、TPU、PETG、の全4種類に対応しています。
ちなみにSelpic Star Aにはお試し用として10mのPLAフィラメントが付属しています。
もし使いきってしまったらAmazonや楽天などでも買うことができます。
ただし、Selpic Star Aの本体は軽いため1kg以上のフィラメントリールをつけようとするとひっくり返ってしまうので選定に注意したいところです。
本体コントローラーの+ボタンを押すとノズルが加熱され2分後にフィラメントを自動供給してくれます。
ノズルからスムーズにフィラメントが射出するのを確認したらいよいよ3Dプリント開始です。
デモ用のモデル「ロケット」を3Dプリンティングしてみた
付属のMicroUSBにはデモ用として「ロケット」と「壺」の3Dモデルデータが入っていました。
3DデータはSTLという拡張子で記録されます。
それを各3Dプリンターに条件設定。
そして「Gcode」というモデリング形式に変換したあとにmicro-SDカードに書き込みます。
書き込んだmicro-SDカードをSelpic Star Aの側面のスロットに挿入して再生ボタンを押すと印刷が開始されます。
ただし、先ほど紹介したスライスソフトのUltimaker Cureはプリンター設定で何故かSelpic Star Aを選択できませんでした。
そのためダウンロードしてきたSTL形式のファイルををGcode形式に変換することがまだできていません。
いきなりダウンロードしてきたSTLデータを印刷したくなりますが私は、全くの初心者なので素直にデモのロケットを印刷してみることにしました。
3Dプリンターデータのダウンロードサイト
有料、無料問わず世界中には3Dプリンターのデータをダウンロードできるサイトがいくつもあります。
そのままダウンロードして使うのもいいし、データを加工して使うも良し!
思わず見ていて楽しくなるサイトばかりです。
使用感
Selpic Star Aにはディスプレイがないためどうやって印刷キューを出すのか疑問でしたがコントローラーの再生ボタンを押すだけで印刷が開始しました。
ちなみに再生ボタンを押すと自動的にMicroUSB内のgcodeデータを読み取り印刷開始してくれます。
そのためにはgcodeファイルをMicro SDカードの第1階層に置いておく必要があります。
印刷はレベリングリングがうまくできていたためスムーズにできました。
層が積み重なりだんだん完成してくる姿に目が離せなくなりました。
今回のロケットのモデルは完成までに約2時間ちょっとかかりました。
噂通り作動音が静かでした
私は悪名高いレオパレスに住んでいるため印刷中の音がどれ程大きいのか不安になりました。
メーカーの説明によると騒音値は60dBとのことですが、カタログスペック通りかなり静かで驚きました。
また、モーターの振動が床に伝わらないか心配になりましたが、箱の中に入っていた緩衝材を本体の下に敷いて印刷したところさらに快適になりました。
さすがに真夜中の静まり返ったレオパレスだと印刷音が聞こえる人もいるかもしれませんが戸建て住宅やしっかりとしたアパートマンションなら騒音を気にすることなく使えるはずです。
モデル完成
こちらが印刷したロケットの3Dモデルです。
初めて3Dプリンターを体験しましたが想像以上にキレイに仕上がりましたね。
1つ完成したばかりですが、心の中では既に次の物を印刷したくなりました。
まとめ
Selpic Star Aは12㎝×12㎝×高さ12㎝のモデルを3Dプリントすることができます。
繰り返し印刷していくうちにもっと上位機種にアップグレードしたくなる「3Dプリンター沼」がこの先待ち構えています。
今回、初めて3Dプリンターを使ってみましたが覚える用語が多かったり、印刷条件の設定など知れば知るほど奥が深いことが分かりました。
いきなり高い機種を買うのもいいですが組み立てや設定が難しく挫折する人も少なくないのが3Dプリンターの世界です。
ぜひ、入門機であるSelpic Star Aをお試しいただき3Dプリンターの楽しさを実感してほしいと思います。
今後レーザー刻印も試していきますよ!
Kickstarterから購入が可能
Selpic Star AはKickstarterにて出資者を募集中!
出資期間は2020年12月3日(木)まで。
製品の詳細は下記のリンクをチェックしてみて下さい。
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